20/02/03   
   「寒椿」   
  “今年は暖冬だネ”とか、“今日は暖かいなぁ〜”などを口にしている間に睦月(正月)は過ぎ去り、明日の四日は二十四節気の「立春(二十四節気の最初の節、この日から春)」です。ですから、今日までが「寒中」で、明日から「春」ですので、今日は節を分ける日、つまり「節分」となります。
  老生の子供の頃の節分の行事と言えば、“豆まき"だけでしたが、近年は恵方巻(太い海苔巻き、太巻きのこと)を食べることが多くなっています。もともと関西地方では一般的だったそうですが、コンビニやスーパーで全国的に売り出すようになってから、あまりなじみのなかった関東地方など他の地域でも恵方巻という風習・文化が知れ渡るようになりました。その結果、全国的な行事となった故に、販売予測に誤差が出て売れ残った恵方巻の処分が社会的な問題になっています。いわゆる、フード・ロス(何故、カタカナなのだろう。適切な日本語がないのですね。“売れ残り"ではないのですか)です。古来からの煎り豆(大豆)であれば、節分過ぎてもその処分方法が問題視されることなどはありませんでしたが、ささやかな行事(?)に便乗して利潤追求を進めてきた結果が社会的な問題を招く、「なんだろうな」って思います。
    とは言え、これを節分にその年の徳福を司る歳徳神(としとくじん。年神様の別称)がいる方向を向き、目をつぶり一言もしゃべらずに1本丸ごと食べる行事・風習は萬(よろず)にご利益を希求するわが民族に浸透しています。煎り豆と恵方巻との価格を比すれば、恵方巻きを売った方が儲けが多くなる訳ですから、全国的な規模のコンビニやスーパーが、これにが飛びつくことは資本主義の国では当然です。そして、その際にはフード・ロス(売れ残り)の問題は、考慮外だったのでしょう。
  ちなみに、1本丸ごと食べるのは「切らない=縁を切らない」の洒落で、また、七福神にちなんで七種の具材が入っているものから、趣向を凝らした様々な具材を入れたものまで売られています。蛇足ですが今年(2020)の恵方は、「西南西(細かくいうと西南西やや西)」だ、そうです。
  話を立春に戻すと、この日を過ぎても、体感的にはまだまだ寒い日が続くのですが、最初に吹く強い南寄りの風は「春一番」と呼ばれます。今冬のここまでの陽気の様子から見ると今月中には春一番が吹くかもしれませんね。


  図録は、節分過ぎても寒椿なんて、季節外れ(?)でおかしいですね。この時期、街歩きをしても咲いている花は、この花だけその赤色が目につきます。図録のネタもまだ冬枯れです
 
令和弐(2020)年1月21日(火):撮影