主題;エネルギー消費量とCO2排出量について
1.まえがき: |
2008年4月1日からCO2削減行動計画がついに実施されることになった。 昨年12月3日から14日までインドネシア・バリ島で開かれた地球温暖化会議(COP13)に於いて先進国であるEUとアメリカの対立の他、発展途上国の意向が入り乱れ2013年以降のCO2排出数値目標が決められずに閉会してしまった。 EUは2050までには1990年基準でCO2排出量を25~40%削減を主張したが、アメリカはこれに反対し、日本はアメリカに同調して数値目標を出さずに終わった。そのつけを今年の洞爺湖サミットでどう決着を付けるのかが日本の評価になると思われる。 |
2.京都議定書: |
1997年京都にて地球温暖化防止のための国際会議が開催され、温暖化対策として各国に対し各種排気ガスの規制・削減目標値が定められた。1990年を基準としてCO2の削減を2012年までに、アメリカは▽8%、EUは▽7%、日本は▽6%であり発展途上国には数値目標は課せられなかった。 当時は、現役で営業部の責任者として国内及び輸出販売での実績を上げることに従事していたが、CO2の排出基準数値にはあまり関心がなかった。アメリカは直ぐに機械に使用されているモーターのエネルギー効率が90%以上でないと罰金を科す法律を施行した。効率が悪い分熱となって気温を上昇させるということであろう。(モーターの馬力に対応して効率の数値は異なる) そのためモーターメーカーにてコイルの巻き直しを行ったりしたため機械の出荷が遅れ、売り上げに影響が出た苦い思い出がある。 2001年にブッシュ大統領は、アメリカ産業界の意向に沿って京都議定書から離脱すると宣言し、CO2排出規制から逃れた。一方中国・インドは発展途上国と言いながらCO2排出は野放しの状態である。 |
3.「2007年ノーベル平和賞」: |
昨年受賞したのはアル・ゴア氏(アメリカ元副大統領)であった。「不都合な真実」(An
Inconvenient Truth)という映画に出演し、地球温暖化による悲惨な状況に警告を発し、また地球環境に対する啓蒙活動が受賞理由とのことである。 そのアル・ゴア氏の自宅自体が「不都合な真実」であると批判された。彼の家では一年間の電力使用量が平均的アメリカ人家庭のなんと20倍となる22万Kwhを使っていたのである。これは1年間に79トンものCO2を排出していることになるのだ。 |
4.小田原市の取組み: |
昨年度小田原市では各家庭でのエネルギー消費量のサンプリング調査を実施した。即ち電気・ガス・水道・ガソリン・灯油のエネルギー使用量と燃せる「ごみ」の重さを夏季(7・8・9月)と冬季(12・1・2月)の月別消費量を測定したものを収集したのである。この調査で排出量を理解した。 民生・家庭部門からのCO2排出量は全体の約20%を占めているが、法律の規制を受ける産業部門に比べて増加傾向にあるため、CO2削減行動につなげる市民運動として行くとのことである。 |
小田原市CO2排出目標値 (千トン) | ||||
部門 | 2000年 基準 |
2010年 目標値 |
差 | 1990年 (国際基準) |
民生・家庭部門 | 253 | 240 | ▽5% | 248 |
総合計 | 1.233 | 1.110 | ▽10% | 1.222 |
5.CO2排出係数: |
各エネルギー消費に対応するCO2排出量 | |||||
項目 | 単位 | 係数 | CO2 排出量 Kg |
我家 (8・9・10月) 3ヶ月消費量 |
年間推定排出量 3ヶ月X4X係数 |
電気 | 1 KWh | X 0.36 | 0.36 | 1000 KWh | 1440 Kg →1.4屯 |
都市ガス | 1 m3 | X 2.1 | 2.1 | 92 m3 | 773 Kg |
プロパンガス | 1 m3 | X 6.3 | 6.3 | ||
水道 | 1 m3 | X 0.58 | 0.58 | 120 m3 | 278 Kg |
ガソリン | 1 Litre | X 2.3 | 2.3 | ||
灯油 | 1 Litre | X 0.7 | 0.7 | ||
燃せるごみ | 1 Kg | X 0.84 | 0.84 | 38 Kg | 128 Kg |
計 | 2.619 Kg =2.6X10-3千トン |
2008年3月1日現在の小田原市の人口は約20万人、世帯数は7万6千戸である。 2010年民生・家庭部門の目標値240千トンを世帯数で割ると一戸あたり3.1X10-3千トンである。 我家では既にこの数値をクリアーしていることになる。 ちなみに月50Litreのガソリンを消費すると、年間600LitreX2.3=1.4X10-3千トン排出量が増加する。これは2.6X10-3千トンの5割増しで年間計4X10-3千トンとなって目標値を大きく超えてしまう。 自治会100戸に対し車保有者は9割である。小田原市7万6千戸でも8割は超えるものと思われる。 従って、車の燃費効率が現在の2倍以上とするか車の台数を半減しなければ達成出来ないことになる。 |
6.あとがき: |
小泉元首相を最高顧問に据えて、温室ガス6%削減を推進する京都議定書達成議員連盟が4月1日に発足したとの新聞報道である。半袖スーツとノーネクタイ着用では決して達成出来る数値ではない。富山県のスーパーではレジ袋が有料(5円)となった。2日に一度の買い物で1枚のレジ袋、年間183枚分の排出CO2は19Kgとのこと。より効果的な対策がなされるべきだ。 国家財政の膨大な累積赤字を作り、この期に及んでも道路特定財源にしがみつき、年金・医療などにはなに一つ有効な手立てが出来なかった国会議員に温暖化対策の案が出て来る筈はないと確信している。 なにがなんだか訳が分からないと言う福田首相が洞爺湖サミットで笑いものにならなければ良いのだが、結果は予想される。 |