主題;「tー検定」による血管拡張剤の
         効果判定

 

1.まえがき:

 痛風の発作は突然やって来た。10年以上も前の現役の時、会社で膝が猛烈に痛み出し歩くことが出来なくなり、家まで車で送ってもらった。激痛は一晩過ぎてもおさまらず翌日医者(外科)へ行った。医者は湿布薬をくれた。4日間家で寝ていた。痛みが消えたが一ヶ月後足の甲が腫れ今度は内科へ行き痛風と知った。
 今思えば外科は藪医者というより悪徳医者である。如何に外科であろうと症状から見て痛風は判るはずだ。設計から営業へと仕事が変わり、「接待」なる魔物が数年間で体質を変えてしまったのである。


2.血圧データ:

 痛風の薬とともに血圧が高目とのことで血圧降下剤を服用するようになった。ここ2年以上前から毎朝血圧と心拍数を測定し記録している。
 昨年5月から10月の半年間、医者の指示で血管拡張剤を服用したりしなかったりして血圧の様子を見た。その結果、現在血管拡張剤を服用している。
 血管拡張剤を服用しないと最高血圧が150mmHg、最低血圧が90mmHgを超える場合があり、服用した方が最高、最低血圧の平均値もそれぞれ低くなる。
 高・低それぞれの血圧平均値が血管拡張剤服用のあるなしでその差に有意が認められるのかを検定する。


 表1:2006年5月のデータ
Item 5/01 5/02 5/03 5/04 5/05 5/06 5/07 5/08 5/09 5/10 5/11 5/12 5/13 5/14 5/15 5/16
Max 125 111 116 127 119 143 122 131 115 136 126 118 122 129 114 137
Min 80 78 78 84 75 83 80 77 75 79 83 78 77 79 83 80
Pulse 71 71 72 67 79 77 73 78 76 78 70 79 63 63 71 73
Item 5/17 5/18 5/19 5/20 5/21 5/22 5/23 5/24 5/25 5/26 5/27 5/28 5/29 5/30 5/31 X
Max 136 120 119 102 119 105 130 109 125 134 113 118 119 120 122 120.0
Min 82 80 79 75 84 78 84 79 80 84 77 78 84 79 79 79.7
Pulse 71 71 71 74 78 67 69 72 67 72 68 73 67 68 73 71.0

 表2:2006年6月のデータ 6/4の夕食後から血管拡張剤=CRなし
Item 6/01 6/02 6/03 6/04 6/05 6/06 6/07 6/08 6/09 6/10 6/11 6/12 6/13 6/14 6/15
Max 116 115 110 123 138 142 136 128 148 140 129 124 123 129 143
Min 85 78 79 79 86 83 86 86 83 86 89 93 89 89 91
Pulse 70 68 68 69 60 67 63 66 61 69 63 63 64 69 61
Item 6/16 6/17 6/18 6/19 6/20 6/21 6/22 6/23 6/24 6/25 6/26 6/27 6/28 6/29 6/30 X
Max 151 128 139 135 138 140 131 129 123 133 147 125 145 121 121 131.7
Min 89 83 93 86 89 89 83 89 83 84 89 86 86 79 90 86.0
Pulse 63 63 66 71 63 70 70 68 67 72 60 69 71 67 68 66.3

 表3:2006年5月から10月までの半年間で、CRあり及びCRなしのデータ
  グループ1.
CR有り(データ数N1=94)
 グループ2.
CR無し(データ数N2=90)
項目 Max Min 項目 Max Min
平均値   X1 119.3 78.4 X2 129.1 84.8
標準偏差 σ1 9.61 4.21 σ2 9.54 4.36
不偏分散
U1=Root[σ12/(N-1)]
0.997 0.437 U2 1.011 0.462

 上記表からCR摂取の有無によって最高血圧と最低血圧は、それぞれ9.8mmHgと6.4mmHgの差が認められる。


3.t-検定:

 平均値、標準偏差はExcelによって直ぐ求められる。平均値の差のt-検定がExcelによって得られるのかその方法を知らないので個別計算した。

CR摂取の有無2群をプール化した不偏分散の推定値をUeとすると, 
Ue=[(N1-1)*U1+(N2-1)*U2]/(N1+N2-2)  
最高血圧の不偏分散推定値をUex、最低血圧の不偏分散推定値をUenと表示すると
Uex=1.0038、Uen=0.449となる。

検定統計量 t0=|X1-X2|/Root[Ue*(1/N1 +1/N2 )] なので、
最高血圧の検定統計量をt0x  、 同様最低血圧をt0n とすると
0x=66.32、 t0n=64.77 となる。
t分布表からt(190、片側危険率0.0005)<t(180、片側危険率0.0005)=2.63<64.77

 上記から99.95%の確率で血管拡張剤CR剤使用の有無に差があることが認められた。


4.Excel:

 20年以上前になるが職場にPCが導入された時、エポカルクで表作成・計算、文章はエポワードやオアシスなどを使っていた。ウィンドーズ95が発売された時は人事課に掛け合い比較的早くPCを入れることが出来た。
 Excelはエポカルクに比べ圧倒的に使い勝手が良かったがデータ解析などの機能は使いこなしていない。


5.あとがき

  現役を退いた後は血圧くらいしかデータを取り扱うことがない。月毎に表とグラフを作成している。たまたま昨年のある時期に期血管拡張剤を一定期間服用したりしなかったりしたりを繰り返したので平均値の差を検証しようとt-検定に取り組んでみた。