主題;感覚時間について

 

 現役を離れ好きなことに明け暮れているのだが、時間の経つのがやたらと早い。
 歳をとってさらに長く生きたいとの願いが、時間がゆっくり流れて欲しいとの思いとなり時間経過を早く感じてしまうのであろう。

 これを感覚時間と呼ぶことにする。


1.前書き

   時間の単位「秒」は、地球が太陽を一周する時間を1年とし、1年は365日、1日は24時間、1時間は60分、1分は60秒と決められていた。

 1969年、国際度量衡総会にて「セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移 に対応して吸収・放射する電磁波の周波数を9 192 631 770Hzとする時間である。」と定義された。

 月や太陽の運行とは切り離され、なんとも味気ないことになってしまったものである。

 アインシュタインの相対性理論では、空間のみならず時間も相対的なものとしている。しかしながら有史以来人間は、時間が伸びたり縮んだりするのを実感してきたはずである。

 生命科学者が遺伝子構造を調べ「人間も猿もミミズも同じだ」と言ったことに対して、それは2千年前から仏教が説いてきたことの話しを2月号月刊誌で読んだばかりである。

 どちらも人間の感覚を科学で証明したとのことであろうか。

2.加齢による時間経過の変化

   独断と偏見によって感覚時間を、年齢(変数)と個人要素(パラメータ)にて関数化する。
 

2.1 基本式の設定

  系1:  年齢による時間経過の変化を感じる度合として
寿命を120歳とし、若年での変化を微少とし漸次増加(実変化では減少)するよう設定した。
 1=(1/4)*(t/60)2*(3-t/60) 
  【0歳で0、60歳で1/2、120歳で1.0 (180歳で0)】
 
系2:  ストレスを受けた場合の年齢による時間経過の変化の度合として
ストレスによる時間経過の感覚を5歳以上で急激に増加させ20歳でピークに達し、漸次緩やかに減少するよう設定した。
 y2=16(t/40)2*(1-t/40)2  (t=0 ~ 20) 
  【0歳で0、20歳で1.0】
 y3=1-(1/64)*(1-t/20)2  (t=20 ~ 120)
  【20歳で1.0、120歳で.0.61 (180歳で0)】

 

No. 年齢 系1 系2
0.000 0.000
0.000 0.010
10 0.020 0.563
20 0.074 1.000
30 0.156 0.996
40 0.259 0.984
50 0.376 0.965
60 0.500 0.938
70 0.624 0.902
10 80 0.741 0.859
11 90 0.844 0.809
12 100 0.926 0.750
13 110 0.980 0.684
14 120 1.000 0.609

基本式のグラフ:FIG.1

  2.2 関数化
  系1: ストレスが無い場合 (FIG2 1.0)
 F(t)=EXP(-0.5*y1)=EXP{(-1/8)*(t/60)2*(3-t/60)}
系2: ストレス(満足度 λ)がある場合 (FIG2 0.5~0.1)
 F(t)=EXP{λ*(y2or y3)}*EXP(-0.5*y1)
<λ=0.5~0.1>

感覚時間のグラフ: FIG2

3.あとがき

 FIG1,2は、連続した曲線である。

 ストレスがない場合では、60歳で0.8の感覚は現状と一致している(そのように設定させたのだが)。
 また60歳での変化率が最大となっている。

 極長時間を表す言葉として下天五劫があり、短い方は刹那、みな仏教から来ている。

 ローマ帝国ネロの時代の哲学者セネカの名前を知ったのは、レーガン氏が1984年の大統領選挙で対立候補モンデール氏とのテレビ討論の時であったと思う。討論中に何かのことわざが出た時、レーガン氏は、それを言ったのは、セネカだと相手の間違いを指摘したのであった。

 セネカが書いたものを読んではいないのだが、セネカの言葉として「人生は短いのではない、我々がそれを短くしているのだ」と言っている。短く感じさせている自分の欲を捨て「平常時命終時」を心掛けたいものである。 

参考図書、資料

宇宙の不思議 PHP文庫
文芸春秋 2月号 文芸春秋社