主題;「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」について:

 

 12月24日付の朝日新聞朝刊に2003年2月に行われた東京大学の入試問題で「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」との記述があった。

 暇つぶしにやってみた。

1.半径1に内接する正12角形の辺の長さに注目する。
  (半円周はπ)

  n+1・cos15°=a/2、 〔a/2=sin30°=1/2〕
cos15° =cos(45°-30°)
=cos45°・cos 30°+sin45°・sin30°
=√2/2 ・√3/2 +√2/2・1/2
=√2/4・(√3 +1)
 従って、
 正12角形の一辺の長さ
  n+1 =1/2・4/{√2・(√3 +1)}
=√2・(√3 -1)/2
=0.5176

 内接半円相等分の辺の長さは、
 6X 0.5176=3.1058となる。
 従って、π>3.105>3.05

 朝日新聞の3.05は、3.105の間違いか?

2.正多角形を一般化した例を
       「オイラーの贈物」から紹介する。

  『この本はiπ=-1を証明するために書かれた本である。』
 FIG 1で正6角形を基本に6x2n+1角形の辺の長さを求める。

  x+y =1 ・・・・①
2+(an/2)2 =1 ・・・・②
2+(an/2)2 =(an+1)2 ・・・・③
②、③から(an/2)2 を消去すると、
  2-y2 =1-(an+1)2
(an+1)2 =1-x2+y2=1-(x+y) (x-y)
=1-x+y
=2-2x
=2-2√{1-(an/2)2}
 
n+1 =√[2-√{4-(a)2}]

  =1 (正6角形)
=√[2-√{4-(1)2}] =√{2-√3}
=1/√4・√[{8-4√(3) }]
=1/2・{√(√6-√2) 2
=1/2・(√6-√2)=0.5176 (正12角形)
=√{2-√(2+√3)}=0.2610 (正24角形)
=√[2-√{2+√(2+√3)}=0.1308 (正48角形)

 正(6x2n+1)の半周の長さを以下に記す。
  正  6角形 3 xa=3
正 12角形 6 xa=3.1058
正 24角形 12xa=3.1326
正 48角形 24xa=3.1393
正 96角形 48xa=3.1410
正192角形 96xa=3.1414
注1)
 朝日新聞では正8角形の面積と円の面積(π)を比較する。
 また正12角形でも良いとあったが、訂正記事が出て正24角形で証明するとのことであった。

3.あとがき

   

 文部科学省は、πを約3と教えることになったそうだが、円周の長さが正6角形の周の長さとほぼ同じと教えているようなものじゃないか。
 少なくとも約3.15の方がより妥当ではないか・・・正6角形の5%増しとの目安である。
 見た目にも6角形では差がありすぎると実感した次第である。 

 

参考図書、資料

「オイラーの贈物」人類の至宝 iπ=-1
 を学ぶ
吉田 武 ちくま学芸文庫