話 題 ;1.「心」について
2.3年目について
1.「心」について | |
進化論に繋がる一つの議論に「心」の問題があります。
ここでの議論を逆にたどって見ると、『「心の機能」は、ある事項を「記憶」することがないと動作しない。そして、「記憶」は「遺伝子」の働きによって決まってしまう。』 つまり、「心の機能」⇒「記憶」⇒「遺伝子」となっていています。 しかしです。遺伝子は、単なる4種類の塩基が並んだものという、実にそっけない世界です。 これが「記憶」とどう繋がるのか、この講演では見えないように思います。 この論議は、進化論という世界で説明できるのでしょうか。これからも引き続き調べてみたいと思っています。 利根川教授の紹介 1939年、名古屋市生まれ。京大理学部卒。米マサチューセッツ工科大学教授。 84年、文化勲章受賞。87年、「多様な抗体を生成する遺伝子学的原理の解明」でノーベル生理学・医学賞受賞。 |
2.3年目について | ||||||||||||||||||||||||||||||
今年は、2003年。21世紀に入って、早くも3年目です。 そこで3年目にまつわる話題と思い、落語にこの演題があるのを思い出して調べてみました。話は面白いのですが、幽霊が出て来る話なので目出度い正月には相応しくないのです。 それではと、20世紀の3年目、1903年はどんな年であったかを調べてみました。 落語から、何の脈絡もなくいきなり歴史へと移る無定見さは、我ながら驚きますが、お許しをいただき、暫くお付き合い下さい。 1903年、我が国の年号で言えば、明治36年(癸卯)です。この年の我が日本の世相を総括すれば、対露強硬論が高まった年でした。翌1904(明治37)年2月10日には、日露間に戦争が始まったのですから。 当時のロシアは、圧倒的な強国だったのです。この年の出来事を記録した年表から、ロシアの行動を追って見ますと、とにかくロシアは満州、朝鮮を占領すること、あるいは租借を継続することによって、自国の権益を確保する・拡大することにあらゆる手段を尽くしていました。と言うよりは、傍若無人の振る舞いであったと言っても過言ではないかも知れません。 一方、極東の小国・日本はロシアの満州、もしくは朝鮮への進出を何とか食い止めたいと、外交的な努力を傾注しています。何が何でも戦争に持ち込んで解決しようなどとは、全く考えていませんでした。戦争は、外交交渉の最終的な手段と言われますが、当時の人たちにとってはこのことが明確に分かっていたようです。 ですから、この年の世論は「対露強硬論」ではあったにしても、政治の指導者は冷静であったのです。しかし、開戦という事態になれば、それに対応できる確実な手を打っていました。12月28日には、戦時大本営条例を改正公布し、参謀総長と軍令部長を対等の地位にしています。また、同日海軍の第一・第二艦隊で連合艦隊を編成し、司令官に東郷平八郎中将を任命しています。 ここで現代に戻ります。 政治家と呼ばれる方々や有識者と称される人々は、国家の利益や安全をどの様に考えているのかが見えてきません。 例えば、北朝鮮から受ける脅威についてです。北朝鮮が我が国を侵略しようなどとは思いもつかないことですが、自己主張のために暴発した場合の状況をどの様に想定しているのでしょうか。 北朝鮮が大量破壊兵器を所有し、それを使用する可能性が高く、「重大な結果」を招くかも知れないとしながら(12月末に行われた日米安全保障協議委員会での共同発表による)、これを回避するための手段を講じているかが見えてきません。 我が国の世論は、「暴発することはないだろう」という楽観論を前提にした、対北朝鮮政策を支持していますが、政府もその域に留まって、のんびりとぬるま湯に浸っているように思えます。ですから、有事での法体系が不備であっても、特別の不都合を感じないのです。 有事など望む人などいる筈もありません。しかし、緊急事態の発生の可能性がかなり大きくなりつつある時に、そのための法整備を行おうと声を大きくする政治家は一人もいないのです。 これが先人に優れた政治家・外交官を持ちながら、その知恵を学ぼうとしない今の政治家に頼らざるを得ない、現時点における私どもの不幸があります。 と言ったところで、これは「ごまめの歯ぎしり」です。 1903年に戻ります。 日露関係の事項を除いた、この年の出来事を列記してみます。
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100年後の2103年になって、「さて、100年前の2003年は、どんな年であったのか」と振り返る人がいた時、 「そうか、10年来の不景気を克服する兆しが見え始めた年だったのか。しかし、それ以外は、平穏で静かな年だったのだ」と 総括されるような年になるよう願いたいものです。 |
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付記; |
参考図書
2002年11月29日(金) 読売新聞 朝刊 |
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決定版 20世紀年表 | 神田文人・小林英夫編 | 小学館 |