16/10/24
ブルーサルビア
   平安の昔は、「・・・・ 風の音にぞ おどろかでぬる」(古今和歌集 藤原敏行)だったのですが、現在の東京では、秋になるのは何時?、の陽気です。ですから、身に着けるものも未だに夏物主体です。童謡に「春よ、来い」がありますが、今後は“秋よ、来い。早く来い。”という歌が生まれるのかもしれません。
 図録は、この季節の花です。北米大陸が原産地で、我が国には昭和の初めに入って来たとのことです。この時期、紫が目立ちます。
 
 ところで、今回は16日(日)に行われた新潟知事選の結果を報じた全国紙“Y”のお噂です。この選挙の結果はご承知の如く、前任の知事(泉田さん)と同様の「原発稼働慎重派」の新知事の誕生となりました。ですから、原発推進派の“Y”は、17日(月)の朝刊で一地方知事選の結果を一面のトップに掲載し、その他の面でこれが与えるであろう不利益の様々を伝えていました。
 曰く、東電経営状況が「一層厳しく、不安定に」なるだろう。「/東電は、原油や液化天然ガス(LNG)の輸入価格に左右される火力発電への依存度が高まり、経営の重しとなってきた。火力発電より発電コストが低い柏崎刈羽原発が1基動けば、年間収益が最大で約1000億円改善するという。/足元では税引き後利益で黒字を確保しているが、原油価格の下落で支出を抑えられている側面が大きい。現在は低迷している原油価格も中長期的に上昇するとみられている。火力発電の燃料費が増えると、収益を圧迫するため、原発の重要性は高まる。」とし、「/電力各社の電気料金(15年度)は事故前と比べ、家庭向けで平均約2割、企業向けで平均約3割高い。家庭向けで事故前より約2割高い東電は、柏崎刈羽原発の6、7号機が再稼働すると、電気料金を2〜3%引き下げられるとのアナリストの試算もある。」と読者(国民)を脅し、洗脳を仕掛けます。
 また曰く、共産、自由、社民の各党の推薦を受けて初当選した知事誕生でしたから、「/7月の鹿児島県知事選に続く「再稼働慎重派知事」の誕生は、政府が目指す全国各地の原発再稼働の動きに影響を与えそうだ。」とし、「/政府・与党はショックを受けている。政府関係者は16日夜、「再稼働の話し合いは難しくなる。米山氏は間違いなく政府に厳しい姿勢で臨んでくるだろう」と語った。」と、この結果に対する原発推進派の心情を吐露し、代弁しています。
 また曰く、「解散戦略に影響も」と言い、「/自民党は、総力を挙げた選挙態勢を取ってきたにもかかわらず、推薦候補が敗れたことは、安倍首相の衆院解散・総選挙に向けた政権戦略に影響を及ぼすとの見方が出ている。」と政権の状況を推測しています。そして、「/来年1月の衆院解散が取りざたされているが、首相に近い党幹部は「無党派層の関心が高い政策テーマで、野党共闘が盛り上がると脅威になる」と語った。」と伝え、政府与党の争点を見直すことを推奨します。親与党の“Y”ですから当然の親心なのでしょう。
 そしてまた曰く、福一事故の影響で、南相馬市から新潟県三条市に避難している自営業の方の「原発事故の悲惨さを知る者としては、国に対する強い姿勢を貫き、住民第一を忘れないでほしい」と訴えている、と言いつつもこれに続けて、「/柏崎刈羽原発が
 停止した影響は、新潟産業大学の宇都宮仁専任講師による2015年の試算で、05年と7基すべてが停止中だった08年を比べると、柏崎市の生産額が1908億円減ったとみられている。05年の市内総生産額4815億円の約4割相当だ。雇用も6482人分が失われたとされる。地元経済団体幹部は「原発の長期停止で協力会社の社員らが減り、飲食業などがダメージを受けている。閉塞感が長引くことが懸念される」と話した。」と具体的な数字を挙げて、原発立地地域の現状を訴えます。つまり、兎に角、原発を動かして地域の“ひもじさ”を早く助けろ、というのです。
 そして、これらのまとめは、社説の「/安全性が確認された原子力発電所は、着実に再稼働する必要がある。新知事には、冷静な検討を求めたい。」となり、その最終段には「/米山氏が重視する福島事故の検証も大切だが、既に政府の事故調査などを経て原発の安全基準は強化されている。専門的知見を踏まえ、再稼働の是非を判断する権限は原子力規制委にある。米山氏はその見解を尊重すべきだろう。」で締めくくります。
 我が国の原発導入を邁進したのは、大勲位・中曽根康弘氏と正力松太郎でした。ですから、“Y”が推進派の意向を強く反映するのは当然です。とは言え、“木鐸”を自認する大メディア(?)としては、居丈高に「原発を稼働せよ」ではなく、この結果から冷静に世論の真意をくみ取る(もしくは、想像する)こともすべきでしょう。
 世論(大メディア“Y”からすれば、愚民たちでしょうが)は、“福島事故の検証”だけでも不十分と考えているのです。「柏崎刈羽原発が1基動けば、年間収益が最大で約1000億円改善する」のであれば、原子力村は数百億投じても県民(新知事を含みます。そして、国民も)が納得する事故の検証をすべきであること提言すべきでしょう。そして、この検証結果に多くの納得が得られれば、その見返りは数兆円でしょう。この辺りが思いついているが、口にしないとなれば、我が国マスメディアの雄としては、情けない限りで、その見識も疑いたくなります。
 また、“Y”は「原子力規制委は原発の安全基準を強化しているので、ここが認めた原発は『安全』だ」としていますが、原子力規制委は原発の安全基準に適合していると認めるだけで、合格しても原発運転の『安全』を保障するものではないと言っていることをご存じないのでしょうか。
 衆愚の一人が“メディアの雄”のお噂をと申上げるのは、この様なことを続けていると、我が国のエネルギー政策が定まらず、気付いた時には世界の技術革新に乗り遅れて、今より高額な電気料金に、てなことを心配しているのです。
平成27(2016)年10月20日(木):撮影